1.「上陸特別許可」とは?
上陸特別許可とは、入管法に規定される上陸の条件に適合しないため本来は上陸許可されない外国人に対し、法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると判断し、その裁量により与える上陸許可です。
2.上陸特別許可が与えられる3つの類型
類 型 | 説 明 |
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@再入国許可を受けているとき | 再入国許可を受けている外国人は一定期間の在留を許可されているものであることが考慮されたものです。もっとも、再入国許可を受けていれば必ずこの上陸特別許可が得られるわけではありません。 |
A人身取引等により他人の支配下に置かれて日本に入ったものであるとき | 人身取引等の被害者である外国人を保護する必要があることが考慮されたものです。 |
Bその他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認められるとき | 実務上、上陸特別許可が一番多いのはこの類型ですが、具体的にいかなる場合がこれに該当するのかが法文上は明らかでありません。 |
3.上陸特別許可の実務上の要件
上陸特別許可は上陸の条件に適合しない者、特に上陸拒否事由の該当者の上陸を例外的に認めるものであり、許可される場合は限定されています。
実務上、許可されるためには、少なくとも以下の要件を全て満たしている必要があるとされています。なお、以下は最低限の条件であり全て満たしていたとしても不許可となることがあります。
@ | 日本人、特別永住者、永住者、定住者と(婚姻の信憑性に疑いのない)婚姻が成立している者 |
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A | 退去強制後2年以上経過していること(ただし、配偶者との間に実子が存在する場合は、退去強制後1年程度の経過で許可される場合もあります) |
B | 婚姻後1年以上経過していること |
C | 執行猶予付き有罪判決を受けた後に退去強制された場合は、執行猶予期間がおおむね経過していること |